地域の期待と現実
地方で熱気をおびるフィーバーぶりは、リゾート企業が来てくれたら過疎化した町や村に賑わいがもどるだろうという、極めて素朴であるだけに、それだけ切ない願望を反映しています。
相場をはるかに割る安値で、しかも100ヘクタール単位の土地をとりまとめて売る自治体職員の超人的頑張りは、もはや「リゾートしかない」という、切迫し思いつめた末のことなのです。
これが最後の地域振興策であるという思い込みからも生じています。
今、地方ではリゾート開発は神聖な公共事業であり、地域再生の最後の切り札と目されています。
90年2月に、熊本県中央町でおきたこんな事件が報道されました。
建設予定のゴルフ場げによって飲用水および農業用水が汚染され、健康や農産物販売に重大な影響を及ぼすという懸念から、関連集落の町議2人が、町議会のゴルフ場誘致決議に反して自分たちの土地を売らないしと言ってきたのです。
この勇気ある(田舎ではよほどの覚悟が要る)発言を町当局や町内世論が許さず、結局町の振興に異をとなえるとは町会議員にあるまじき態度となじられ、責任をとらされて2人は辞表を出したというものです。
最近は安全性と嗜好性によって、地域作物のブランド化傾向が強く、中央町でも農家はブランド化対応に取り組んでいます。
ゴルフ場の建設のためにムラの米や野菜のブランド・イメージがこわれるとすれば、一考が必要でしょう。